一休入魂

2007年5月

第4回:千の風になって



 みなさまは、この「千の風になって」という歌を、ご存知でしょうか?多くの方が、耳にしていると思いますが。亡くなられた故人が、残した者への思いを、綴(つづ)っている歌です。 この歌が、注目を集めるようになってから、ちらほらとお檀家さまから、聞かれることが多くなったのが「本当にここ(墓)に故人は眠っているのですか?」といった質問です。
 お墓に亡くなった故人の御霊(みたま)は安らかに眠っているのか?みなさんはどのように思いますか?答えはYESでもNOでもありません。
 弘法大師空海和尚(わじょう)のお言葉でこのようなものがあります。

 この言葉からすると、仏(仏の世界)・仏の教えは、遠いところにあるのではなく、心の中にして、とても近いところにあるのです。亡くなられた故人は、仏となって、仏さまの世界にいらっしゃいます。その仏の世界があるのは、みなさまの心の中なのです。ですから、お墓に故人の御霊が、安らかに眠っているか?との質問の答えは、お参りする方の、心の中にしかないのです。
 最近は、テレビでもお墓のお参りの仕方や除霊などの番組が多く、色々な情報が、流れています。そのたびに、多くの反響があり、みなさまの、先祖供養や霊に対する、関心の高さが覗えます。しかし、その、多くの情報に惑わされてしまい、自分を見失っている人も多いのではないかと感じます。
 例えば「お墓に水をかけてはいけません、そんなことをするとご先祖さまに失礼です」とテレビで、やっていたそうです。なぜ失礼になるのでしょう?
 汚れたお墓を綺麗に掃除する。水は、昔から清浄なもの、汚れたものを洗い流す、綺麗なものとされてきました。その水で、故人のお墓を綺麗にすることが、なぜいけないことなのでしょう?大事なのは、お参りをする方が、ご先祖さまに対して、感謝の気持ちを持って、お参りをすること。そして、亡き故人は、残してきた愛する者達の、幸せを望んでいるのであって、多くの情報に悩まされ、苦悩している姿で、お墓参りをしても故人は、喜ばないのではないでしょうか?
 そんな情報社会の現代において、このお大師さまの、言葉の意味が大事なのではないでしょうか。情報に惑わされることなく、心の中の仏さまと、お話をし、正しい判断、決断をする。その為の智慧(ちえ)が仏教であり、僧侶は、そんなみなさまの疑問、質問にお答えする準備を日々しているのです。
 お墓の中に、故人が眠っているかどうかが重要ではなく、みなさまが、心の中に故人、そして仏さまを、感じることができるかが大切なのです。

合掌