一休入魂

2007年7月

第5回:心頭滅却をすれば火も亦涼し


 先月6月5日に栃木県湯西川温泉において平家大祭の一部「火の祭典」として大紫燈護摩(だいさいとうごま)に出仕してまいりました。紫燈護摩とは、山伏が護摩木で大きな壇を組み、それを燃やし炎の中に不動明王を観じ、祈祷するのが紫燈護摩です。その中で修行の一環として行われるのがみなさまもご存知の火渡りです。その火渡りに参加してまいりました。

よくテレビなどで見る機会があるかと思いますが、よく聞かれるのが、「本当に熱いの?」「実際は平気なんでしょ?」「火傷はするの?」など聞かれることがあります。私の実際の感想としてはまさに

 火渡りとは、炎の中を歩き抜けることによって、好むと好まざると普段の生活の中で、心や体に積もった垢を焼き清め、心身ともに清浄になるといった意味合いがあります。しかし、実生活の中において、炎に身をさらすことは殆どありません、そして、いざ火を渡る時はとても緊張し、恐怖心が芽生えます。初めて火渡りを体験した時、あまりの緊張と恐怖で嗚咽に襲われた記憶があります。しかし、そこで先輩山伏からいただいたアドバイスは“目を閉じて、不動明王の御真言を唱えなさい”、その言葉をいただき、実践しますと不思議と心が落ち着くのがわかりました。目を閉じて真言を唱えるとは一種の瞑想に近いものがあり、呼吸を整え、集中力が増し、次第に恐怖心すら無くなっていました。
そして、いざ炎の中に飛び込み走りぬけるとどうでしょう、熱い、怖いといった感覚はありません。まるでスローモーションのようであり、別な空間にいるような感覚を覚えました。まさに、“心頭を滅却すれば火も亦涼し”この言葉は甲斐国の禅僧快川紹喜(かいせんじょうき)の言葉で、心中の雑念を払って無我の境地に入れば、火中でも涼しさを感じられるといった言葉です。高い精神力と安定した心の状態で望むことによって、いかなる苦痛、困難をも超越することができるのです。
現代社会の中にも多くの困難や苦しい時などあると思います。しかし、それを乗り越えたり、挫けたりするのもあなた次第なのです。でも挫けそうになったとき、お不動さまの御真言を唱えてみて下さい。きっと胸の内に眠る大きな力が湧き起こり、問題を解決する力を与えてくれるでしょう。