一休入魂

2007年11月

第7回:智山声明


 密蔵院はご存知の通り、真言宗智山派の仏教寺院であります。真言宗は弘法大師空海がお開きになられた宗派であり、最近ブームの四国お遍路、八十八箇所霊場を開山されたのも弘法大師空海であることは有名です。そして真言宗に16宗派がございます。その一つ新義真言宗智山派に当山は属しております。新義といいますから、古義もありまして、高野山や東寺などが有名です。また、智山派の有名寺院では成田山、川崎大師、高幡不動、高尾山などがございます。
 この新義真言宗智山派は「学山智山(がくさんちさん)」ともいわれ、昔から教学、論述など学びの山として名を馳せてきました。その中において「智山声明(ちさんしょうみょう)」も特徴の一つで、お経に抑揚のある節をつけてお唱えします。この声明はお能や、雅楽、狂言などの元となったともいわれており、とても優雅な旋律で聞く人の心に響くものであります。
 昔話に、ある王様が臣下を連れて歩いていると、どこからともなく綺麗な琴の音が聞こえてきました、そこで王様は臣下にこの音の主を呼ぶように命令しました。そして、その臣下は琴と楽師を王様の前に連れて戻ってきました、早速演奏をし弾き終えると、王様は「あの美しい音色がもう消えてしまった」ともう一度演奏するように申し付けました。そして、また演奏をし、弾き終えると楽師にまた「また消えてしまった。もう一度あの美しい音色を」と命令されました、そして、そのやり取りが繰り替えされる内に、楽師は呆れてこの様に言いました「いえ、その音はもう王様の心の中にちゃんと入っています。もう一度お聞きになりたいのであれば、心の中に入っている音をもう一度外へ出してください」と。この昔話は、世界が無常であることを比喩しており、無常であればこそ心の中に留めることもできるといった話です。音には昔の情景を思い描いたり、堪らず涙がこぼれたり、そんな素晴らしい力があります。我々はこの声明で仏さまの世界を表し、これを聞く者の心にも仏の世界を表します。 そんな何気なく聞くお経にもそんな力があるのです。


 さてここで少し宣伝になってしまいますが、来年平成二十年二月十九日(火)浦和埼玉会館にて、この声明の講演がございます。智山に伝わる声明をお唱えし、また、各法要で僧侶が着る様々な法衣など、普段なかなかお見せできないものなどを披露、解説いたします。そして、約200名の僧侶でお唱えるする声明の迫力や旋律をお聞きいただき、仏さまを身近に感じて頂きたいと思います。


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