一休入魂

2008年7月

第9回:環境


 近年、地球全体の気温上昇における温暖化現象が著しくみられ、世界各国で環境問題が議論され、温暖化防止策が進められております。これは人類が文明という、人々の生活をより豊かに、より快適に過ごすため、科学技術の発展や、その為の自然破壊であったり、多くの犠牲の上にこの文明が築きあげられてきました。しかし、この環境問題というのは、何も自然に限ったものではなく、今日の日本経済の低迷、少子化、子供たちの教育など、環境問題という言葉には多くのものが含まれると思います。その中で今回、人の育つ環境というものを考えてみました。
 みなさまの記憶にも新しいと思いますが、先日、6月8日秋葉原における無差別殺傷事件で17名の方々が無差別に殺傷されたという惨劇。7名の方がその尊い命を失われ、日本中が震撼した事件がありました。その容疑者として逮捕されたのが25歳の容疑者であります。
 その容疑者は派遣社員として、工場に勤めていましたが、リストラされるのではないかと危機感、絶望に襲われての凶行だったと報じられております。容疑者は進学校を卒業し、近所の方も優秀だという子供だったそうです。しかし、社会に順応できず、その能力を存分に発揮できず、苦悩していたようです。


  「性相近きなり、習い相遠きなり」

 これは孔子の言葉ですが、人というのは生まれてきた時、その差は僅かだが、いかに育つか、その環境によって大きな差が生じる。といった言葉です。
 今日の日本は近代からなる学歴主義社会と能力主義社会の狭間にあって、その変化に順応できず、苦悩している若者も多いと思います。確かに偏差値の高い学校へ入るには、人よりも多くの時間を勉強に費やす必要があり、それも努力の一つであり、評価に値すると思います。しかし、思春期という人格形成の大事な時期でもあり、友達とのコミュニケーション、グループでの調和、優先順位知覚(臨機応変さ)など、教科書には載っていないことなど多くを学ぶ時期でもあります。これらの一方に偏ってしまうと、バランスのくずれた人格になり、その結果、社会に順応できず、自分を見失ってしまうのかもしれません。先の容疑者も一生懸命勉強すればいい会社に就職でき、安定した生活が約束されていると両親から言い聞かされ、それを信じてがんばってきたのでしょう。しかし、現実は思い描いたものとは違い、その絶望感は計り知れないものであったでしょう。
 環境とは、自然や社会、人間を取り巻くすべてを指し、その環境をよくする、守るためには自然、生き物、食べ物、物や人を思いやる慈しみの心、感謝の気持ちを持つことが第一歩であり、これらの心を共有することで、心から笑い、愛の満ちた世界が実現できるのではないでしょうか。

合掌