一休入魂

2012年03月

第23回:山を下るということ


 先日、とある勉強会にて講師の方がおっしゃった言葉がとても心に残ったので、ご紹介したいと思います。
 この言葉は、B&Bで一世風靡した島田洋七氏の「がばいばあちゃん」での言葉で、 『山を登ったら、今度は谷へ下りていけ。いっぱい気づくことがある。そもそも頂上なんて住むところじゃない。記念撮影が終わったら下りて来い。谷はいいぞ。鳥もいるし、きれいな花も咲いている。川だって流れている。川で体を洗ってさっぱりしたら、もういっぺん山の頂上へ向かえ。』
 漫才ブームが終わり、仕事や収入も減り、体調を崩した洋七氏にばあちゃが言った言葉だそうです。
 我々は誰しも夢を持ち、また、少しでも良い暮らしを目指して、先人たちは今の日本の発展の礎を築いてきました。しかし、バブル崩壊からの経済の混迷、昨年の東日本大震災の影響による原子力発電停止による電力不足。先人たちの築き上げてきたものが一瞬で崩れ去りました。私たちのより良い生活というものが危機に瀕しており、被災地の多くの人や国民が未来への不安を抱いているのではないでしょうか。高度成長という名のもとに経済大国への昇りつめた日本でしたが、景気、そして安全神話が崩れ去り、我々は一からの出直しを迫られています。
 しかし、このがばいばあちゃんの言を借りれば、我々は今、谷に下りてきており、人々の絆や温もりを助け合いの中で再認識し、被災者の姿を見た外国人が、日本人の我慢強さ、パニックを起こさずスーパーに並ぶ姿、金庫の数多くが持ち主に戻ったことに驚き。多くの方が我々日本人の素晴らしさに気付いたのではないでしょうか。これから数年、我々はこの谷で鋭気を養い、川で体を洗い、新たな価値観のもと一からの出発に向け準備を整えて、やがては先人たちが戦後の復興を果たしたように、この震災を乗り越え日本の繁栄に向けた大きな山を登り始めるのではないでしょうか。
 三月十一日 午後二時四十六分 震災殉難者への哀悼の誠を両手に込め、合掌黙祷のご協力をお願いいたします。

合掌